ごみ収集車 (2)

『日本人はマナーがいいなんて嘘』ごみ収集員が対峙する日本の違反ごみ」という記事を読んだ。取材に費やした時間と労力を想像させる力強い記事だった。ごみ清掃員として働く私は、一つ一つのエピソードに頷きながら、時には“あるある”と口に出しながら共感した。

 特に「違反を知らせるシールを貼る作業も時間ロスの1つ」(神奈川県40代男性)などはコロナ禍において顕著だった。外出自粛を機に家の片付けをしようと考えたご家庭は多く、例年以上のごみが出た。その中には分別することが面倒なのか多くの違反ごみがあり、それら一つ一つにシールを貼っていく。ごみ清掃員を長くやっていると、わざとルール違反をしているのか、ルールを知らないだけなのか、ごみを見るだけでわかる。可燃ごみの中に、使いかけのラー油の瓶やドライヤーが入っていたことがあったが、これは明らかルール違反だと分かってはいるけれども、分別するのが手間でそのまま捨てたと考えられる。そういうごみに作業の手を止めて違反シールを貼る手間はとても虚しく感じる。

知らずにつかみ何度も血まみれになった

「割れたガラスがごみ袋に入っていて知らずに掴んで大怪我をした人もいました」(京都市40代男性)

 私はごみ清掃員を8年間やっているが、このような経験を何度もしている。割れた茶碗やグラスが可燃ごみに入っていて、知らずにつかみ何度も血まみれになった。応急処置として効果があるかどうかわからないがファブリーズをよく手にかけたものだった。軍手を突き破って血だらけになった指は一日中、出血をし続け、軍手が真っ赤に染まる。不運にも雨だと血が止まらない。ごみを出す方は何気なく出しているが清掃員にとっては大怪我につながることもある。

 記事には、「『臭いから早く持って行け』という電話がくることがある」(大阪府20代男性)という声もあげられていた。同じ言葉ではなかったが、私も似たような経験をしており、自分のことのように腹立たしく感じる。

 しかし、私が一つだけ違う思いを抱いた点がある。日本全体のごみ出しのマナーが悪くなっているということでは必ずしもないと思ったのだ。

23区内でごみを見てきた私の知る限り……

「出されるごみの分別方法は年々悪くなってきています。単身者向けの賃貸アパートや集合住宅はその傾向が顕著です」(栃木県30代女性)

 このアパート、もしくはこの地域のごみ出しマナーが悪くなっていることが読み取れるコメントだ。私は、恐らくこの30代の女性は同じ地域を回っている常勤(毎週、同じ地域のごみを回収する勤務形態)の方ではないかと想像した。

 私は現在、非常勤の清掃員として働いていて、その日によって回収する場所も、回収するごみの種類も違う。23区内で様々な地域のごみを見てきた私の知る限り、ごみ出しのマナーが悪い地域は年々悪くなるし、綺麗にごみ出しをしている地域はどんどん綺麗になっていく現実がある。

 ごみ出しマナーの格差が広がっている事は確かではあるが、日本全体でごみ出しのマナーが悪くなっていることとは別の話である。

 コロナ禍において、分別をきちんとする地域と、しない地域の格差は分かりやすく広がり、分別をあまりしない地域を担当している清掃員が溢(こぼ)す愚痴は気の毒なるほどよくわかる。「集積所が汚い場所イコール治安の悪い場所」とは限らないが、一般的に治安の悪いと言われている地域はごみ集積所が汚いことが多い。集積所はそこに住んでいる人たちのマナーを測るひとつのバロメーターと言えるであろう。  

 その一方で、私がこの8年間で感じているのは「ゴミは伝染するもの」だということ。ごみ出しルールをきちんと守って出す人も、集積所で皆がルール違反のごみを出していれば、次のごみ出しから自分もルールを守らなくていいやと思うのが人間である。逆を言えば綺麗なごみ出しをしているところに自分だけルール違反のごみを出すのも勇気がいる行動である。綺麗な道端にポイ捨てしにくいが、ごみだらけの所には何の躊躇もなくごみを捨てられるのと似ている。

清掃員ですら目から鱗の「配慮」

 とりわけ私がここで伝えたいと思うのは、しっかりとルールを守り、さらには社会をより良くしようとしているように見える主婦の方々のごみ出しのことだ。

 きちんと朝のごみ出し時間も守り、集積所で清掃員に“お疲れ様”と一言労いの声を掛け、ごみを回収した後の集積所を綺麗に保つために掃除をする。その集積所の各家庭から出されるごみを見れば、竹串はごま油の使い終わったペットボトルに入れ、清掃員に刺さらないように配慮されている。油などが入ったペットボトルは、ペットボトル自体に油が染み込んでいるので、資源にならない。資源に再利用できないペットボトルを最後まで利用してごみを出していることには、清掃員である私ですら目から鱗だ。

 こういうごみが出ている地域は不思議とごみ出しのマナーがきちんとしている人が多い。

 私は様々な地域のごみを回収してきたが、傾向としてペットボトルラベルをきちんと剥がして出している地域は他のごみ――可燃ごみや不燃ごみ、または古紙やびん、缶など――も綺麗に出していることが多い。よくよく考えてみればそうだ。ペットボトルだけ綺麗になっているのに急に可燃ごみだけ汚く出すことはあまりない。

8年前はもっとマナーが酷かった

 記事の筆者であるフリーライター橋本愛喜さんは、「本当のマナーとは、見えないところで人を思いやれることなのだろう」と結んでいる。私も全く同感で、見えないものに対して、思いやりを持つことが成熟した大人だと思っている。  

 8年前はもっとごみ出しのマナーが酷かった。私は次第に状況が良くなっていると思うが、恐らくその当時は単純にルールを知らなかった人たちが、ルールを覚え、マナーを守ってくれるようになったからではないだろうか。

 私事で恐縮だが、先日出版した『やっぱり、このゴミは収集できません』の中で、タナカリヨウスケさんに描いてもらったイラストにこういう絵があり、ごみを出す時にこういうことを想像できるかどうかが成熟した大人か否かの分かれ道なのではないのかと思う。

 回収中に包丁が飛び出してきたことをテレビで話したら、娘が「危なかったね」と私のことを心配した。

 ごみ清掃員の一人一人に家族はいる。独身でも恋人がいたり、ごみ清掃員として従事する子供を案ずる親がいる。清掃員の仲間たちがいる。

 私も同僚がごみで怪我をしたり、スプレー缶などが破裂して重大な事故に巻き込まれたりしたら、心底悲しいし、ただ単に手間だからという理由で何気なく危険なものをごみの中に混ぜていたら腹が立つ。実際、タオルでぐるぐる巻きにされているスプレー缶が可燃ごみで出されているのを見たことがある。

 ごみを綺麗に出す人とごみを乱雑に出す人の格差はコロナ禍において、さらに広がったが、乱雑に出す人にこそ清掃現場の声を知ってほしいと思っている。

◆ ◆ ◆

 マシンガンズ・滝沢秀一さんのエッセイは、「文藝春秋digital」に掲載されています。

留学の話|光浦靖子 コロナで得たもの|ブラックマヨネーズ・吉田敬

(滝沢 秀一/文藝春秋 digital

写真はイメージ ©iStock.com


(出典 news.nicovideo.jp)

清掃員の人が、ゴミ袋の中の焼き鳥の串が手に刺さって危険とか聞きます。汚いうえに危険な仕事なので大変だと思います。

<このニュースへのネットの反応>

ここでいえるのは日本のゴミ出しはマナーが悪いこともあるというだけで、それを日本人に紐づかせるには弱く別のエビデンスが必要でしょうね。


ゴミ出しが綺麗な場所は更に綺麗になっていく。駄目なところはドンドン駄目に磨きがかかるというのは説得力がありかつ納得出来る話だ。しかしファブリーズは効きそうな気もするが、作った会社が悲鳴あげそうだな。


最近では他人のゴミ袋を開けて自分ちのやばいゴミを突っ込む奴がいるから、袋に名前が書いてあるってだけでは誰のせゴミかなんて分からんのだよな。この記事は非常識ゴミ=日本人の仕業と言う事にしたいみたいだがな


俺も前にゴミ収集のバイトを経験したことがあるが、ハッキリ言って日本人のゴミ出しマナーは最高峰の丁寧さだ。外国人が主に住むアパートなんかは基本的にゴミ袋使わないとかあったりする位だからな。勿論マナーの悪い日本人もいるがこの記事の様に「国民」という単位を持ちだすならば大半の他国民とは一線を画すと言って差し支えない


今の清掃局員はゴム引きの手袋着用が義務なんですが、いったいいつの時代の話なんでしょうねコレ?


マナーの悪さは他国に押し付けたいのがいるけど日本人のモラルの低下がヤバいレベルなのは事実なんだよなあ。


燃えるごみ、と書かれたゴミ箱に明らかに燃えないゴミが突っ込まれてるのは多々見るからな。今日本には文字も満足に読めない残念な知能レベルの奴がたくさんいるらしい…。


清掃局か請け負った清掃会社かどっちでもいいけど,ケブラー入りの軍手くらい支給してやれよ…労災になるよりずっといいだろうに.


文春さんはゴミの分別が出来てないと聞いただけでそのゴミを誰が出したのかを判断できる特殊能力を持っているらしい


リサイクル可能なものも、プラスチックも洗ってない・綺麗に出来ないなら燃えるゴミに入れるようにかなり昔に指定が入った。ガラスや金属も燃え無いか、専用の日に持って行ってくれるが、燃えそうだからか何故か細かいものは置いていかれる。分別したいけど、行政がみんな燃えるにするよう言うから、みんな燃える日に出している。お仕事大変で、申し訳ないが、どうしたら良いかわからない


外国人が増えたらそりゃそうなるわなって


ぺっとぼとるの日に缶まで捨てていくからな・・・だから缶は燃えないゴミなんだよ。ゴミ袋にも色別で書いてあるのに読まない外人(韓国語、中国語、イングリッシュ)が多い、あの赤インク代で50円(燃えるゴミ袋)になってんだぞ、更にカセットコンロのガスカンそこらに置いていくんだぜ


特にアパート・マンションの住人の中には、ルール違反をして回収されなかったゴミを「そのうち誰かが処理してくれる」って考えで見て見ぬふり。これが粗大ゴミだと出費がかさむから本当に厄介


日本人のモラル低下というか個人主義的になってるのを端的に表してるのが、韓国が反日活動をしまくっててもKPOPなんかを好む若者とかでしょ。


韓国ドラマを流してる放送局とかもね。